防犯カメラの録画方式|常時録画・動体検知・AOVの違いと選び方

防犯カメラの録画方式は、24時間すべてを記録する常時録画、動きがあったときだけ記録する動体検知録画(イベント録画)、その中間にあたるAOV(Always On Video)の3つに整理できます。どれを選ぶかで、映像の残り方・録画日数・必要な電源がまったく変わります。このガイドでは、3方式の仕組みと弱点、SDカード容量ごとの録画日数の目安、「ソーラー式で常時録画はできるのか」という疑問への答えまで、設置場所の条件から自分で録画方式を選べる状態を目指して解説します。

録画方式は大きく3つ|「いつ録画するか」の違い

ここで扱う録画方式は「いつ録画するか」の違いです。映像をどこに保存するか(NVR・SDカード・クラウド)は別の論点なので、そちらはNVR(録画機)のガイドで整理しています。まず3方式の全体像です。

録画方式どう録画するか向いている環境
常時録画24時間すべての映像を連続で記録AC電源が取れる場所。見落としが許されない出入口・レジまわりなど
動体検知録画動きを検知したときだけ前後を記録電源が取れない場所。動きの少ない倉庫・農地・資材置き場など
AOV待機中はコマ送りで記録し、検知時に通常録画へ切替ソーラー・バッテリー式で、全時間帯の記録も残したい場所

3方式の映像の残り方をタイムラインにすると、違いがはっきりします。

3つの録画方式の映像の残り方常時録画は全時間帯が途切れず残る。動体検知録画は動きがあった前後だけ残り、それ以外は記録なし。AOVは待機中もコマ送りで残り、動きがあると通常録画に切り替わる。時間動きあり動きあり常時録画動体検知AOV24時間すべて残る動きの前後だけ残る(それ以外は記録なし)待機中もコマ送りで残り、動きがあると通常録画に切替通常録画(フルフレームレート)コマ送り記録記録なし
図1:3つの録画方式の映像の残り方。常時録画はすべて残り、動体検知録画は動きの前後だけが残る。AOVは待機中もコマ送りで記録が続き、動きを検知すると通常録画に切り替わる。

このほか、決まった時間帯だけ録画するスケジュール録画(夜間・休業時間帯のみ等)や、一定間隔の静止画をつなぐタイムラプス録画(工事の進捗記録等)もありますが、これらは上の3方式を時間帯や間隔で制御した応用形です。まずは3方式の違いを押さえれば十分です。

常時録画|24時間すべてを残す基本の方式

常時録画(連続録画・24時間録画)は、カメラが捉えた映像をフルフレームレートで途切れなく記録し続ける方式です。業務用の防犯カメラでは最も基本的な方式で、レコーダー(NVR/DVR)を使うシステムやAC電源式のSIM内蔵カメラの多くがこの方式です。

強み:検知漏れがなく、前後の経緯まで残る

  • 検知漏れが起きない:センサーに頼らないため、ゆっくりした動きや遠くの動きも確実に残る
  • 前後の経緯がわかる:事故やトラブルの「起きる前」から映像があるため、原因の特定や状況の説明がしやすい
  • 「映っていなかった」がない:警察へ映像を提供する場面でも、該当時間帯の映像が確実に存在する

弱み:ストレージと電源を食う

  • 録画容量の消費が大きい:同じ容量なら録画日数は3方式で最も短い(後述の目安表を参照)
  • AC電源が前提:24時間フル稼働するため消費電力が大きく、バッテリー・ソーラーでは基本的に成立しない
  • 確認に手間がかかる:映像が膨大になるため、何かを探すときはイベント検索や早送りに頼ることになる

駐車場・店舗・搬出入口のように人や車の出入りが常にあり、どの瞬間が重要になるか事前にわからない場所では、常時録画が第一候補です。

動体検知録画(イベント録画)|動きがあったときだけ残す

動体検知録画は、センサーや映像解析が動きを捉えたときだけ録画する方式です。イベント録画・モーション検知録画とも呼ばれます。録画容量と電力を節約できるため、バッテリー・ソーラー式カメラの標準方式になっています。

検知の仕組みは2種類ある

  • PIRセンサー型(人感センサー型):赤外線で熱源の動きを検知する。省電力で、動きがない間はカメラ本体をスリープさせられるため、バッテリー式カメラの主流。検知距離はおおむね10m前後が目安で、ガラス越しの検知はできない
  • 映像解析型:映像の画素変化を解析して動きを捉える。カメラが常時通電している必要があるため、AC電源式・レコーダー型システムの主流。検知エリアを画面上で細かく指定でき、AI人物・車両検知に対応する機種も多い

弱点①:検知してから録画が始まる

とくにPIR型のバッテリーカメラでは、スリープ状態から「検知 → カメラ起動 → 録画開始」と進むため、映像の冒頭が欠けることがあります。侵入者が検知範囲に入る前の接近経路や、検知直後の数秒が残らないケースです。これを補うのがプリ録画(プリレコーディング)で、カメラが常に直前数秒の映像をメモリに保持し、検知した時点からさかのぼって保存します。

プリ録画の有無による映像の残り方の違いプリ録画がない場合、人が現れてからセンサー検知・録画開始までの映像が残らない。プリ録画があると、検知時点からさかのぼって保存されるため冒頭の欠けを補える。時間人が現れるセンサーが検知プリ録画なしプリ録画あり映像が残らない起動後から録画さかのぼって保存検知後の録画プリ録画ありの機種は、検知の少し前から映像を保持しているため冒頭の欠けを補える
図2:プリ録画の有無による残り方の違い。プリ録画がないと「人が現れてから録画が始まるまで」が欠ける。プリ録画対応機種は検知時点からさかのぼって保存する。対応の有無と保持秒数は機種で異なる。

弱点②:誤検知と検知漏れ

風で揺れる木・強い光の変化・虫や小動物への誤検知と、逆にゆっくりした動きや検知範囲外の動きを拾えない検知漏れは、動体検知方式の宿命です。感度調整・検知エリア設定・AI人物検知でかなり抑えられますが、ゼロにはなりません。「録画されていると思っていたら映っていなかった」が致命的になる場所には、動体検知だけで臨まないのが無難です。

なお「人感センサー」と「動体検知」は別物のように語られることがありますが、人感センサー(PIR)は動体検知を実現する方式のひとつです。製品選びでは「PIR型か映像解析型か」「プリ録画はあるか」を見るほうが実態に合っています。

AOV(Always On Video)|「常時」と「省電力」の中間

AOVは、ソーラー・バッテリー式カメラの「検知したときしか映像が残らない」という弱点を補うために登場した方式です。動きがない待機中は2秒に1コマ程度のコマ送り(低フレームレート)で記録を続け、人や車両を検知した瞬間に15fps程度の通常録画へ即座に切り替わります

ポイントは、コマ送りとはいえ全時間帯の記録が途切れず残ることです。動体検知録画では「検知しなかった時間帯」は完全な空白ですが、AOVなら少なくとも数秒おきの静止画レベルで状況を確認できます。それでいて、メーカー公称ではストレージ消費が常時録画の約30分の1に収まり、消費電力もソーラーパネル+バッテリーで賄える範囲に抑えられます。

一方で限界もあります。

  • 待機中はコマ送り:動きの流れは追えず、数秒おきの断片になる。フルフレームの常時録画と同等ではない
  • 検知性能に依存する部分は残る:通常録画への切り替えは検知がトリガーのため、検知漏れがあれば重要な瞬間がコマ送りでしか残らない可能性がある
  • 搭載機種がまだ少ない:2025年前後から海外大手メーカー(Hikvision等)がソーラー・4G通信カメラで展開を始めた新しい方式で、待機時のコマ数や検知時のフレームレートなどの公称値はメーカー・機種で異なる

「電源は取れないが、全時間帯の記録が欲しい」という、これまで答えのなかった要望に対する現実解と考えると位置づけが掴みやすいはずです。

ソーラー式・電源不要カメラで常時録画はできるのか

「屋外 常時録画 電源不要」のような条件でカメラを探している方は多いのですが、結論から言うと、ソーラー充電式カメラでの24時間フルフレーム常時録画は基本的に成立しません

理由は電力収支です。常時録画はカメラの撮像・エンコード・書き込みを24時間フル稼働させるため、消費電力が大きくなります。ソーラーパネルの発電は天候と季節に左右されるため、連続した曇天や日照の短い冬季にバッテリーが先に尽きるのです。市販のソーラーカメラの大半が動体検知録画を採用しているのは、この制約によります。

電源が取れない場所での現実的な選択肢は次の3つです。

  • 動体検知録画で運用する:動きの前後だけ残れば足りる場所なら、これで十分なことが多い
  • AOV搭載機を選ぶ:全時間帯の記録が欲しいなら、コマ送り+検知時通常録画という折衷案が現実解
  • AC電源の確保を先に検討する:フルフレームの常時録画がどうしても必須なら、近くの分電盤からの配線や既設灯具の電源流用など、電源工事の可否を先に当たるほうが早い

畑・資材置き場のような電源のない現場での実際の構成は、畑・農地の防犯カメラガイドで詳しく扱っています。

録画日数の目安|容量と録画方式で決まる

「何日分の映像が残るか」は、ストレージ容量 ×(解像度・フレームレート・圧縮方式)× 録画方式で決まります。SDカード式カメラの目安は次の通りです。

録画方式128GBの目安256GBの目安
常時録画(フルHD・H.265)1週間〜10日前後2〜3週間前後
動体検知録画数週間〜数か月数か月以上
AOV常時録画の数十倍(メーカー公称で約30倍)

いずれも、ビットレート設定・解像度・映像内の動きの量で大きく変動します。とくに次の3点は見落としがちです。

  • 圧縮方式で約2倍変わる:H.265(HEVC)対応機種は、旧来のH.264と同画質でおおむね半分の容量で済む。動体検知録画の日数は「どれだけ動きがあるか」次第なので、上の表の幅も大きい
  • 古い映像は自動で上書きされる:容量が満杯になるとループ録画で古い順に消えていく。必要な映像は上書き前にダウンロードして退避する
  • 「発覚の遅れ」を見込む:不法投棄や在庫差異のように、発生から気づくまで日数が空くトラブルでは、2〜4週間分は残せる構成にしておくと空振りが減る

なお、レコーダー(NVR)を使うシステムでのHDD容量の逆算はNVRガイドの容量目安で扱っています。また、検索で「録画形式」と呼ばれるもののうちH.264/H.265は圧縮方式(コーデック)、MP4/AVIは保存ファイル形式のことで、いずれも本記事の「いつ録画するか」とは別のレイヤーの話です。

録画方式の選び方|電源と目的から逆算する

ここまでの内容を判断表にまとめます。起点は「AC電源が取れるか」と「どの瞬間の映像が必要か」の2つです。

設置場所の状況向いている録画方式
AC電源があり、出入りが多く見落とせない(駐車場・レジ・搬出入口)常時録画
AC電源はあるが、動きが少なく保存日数を延ばしたい動体検知録画(または常時録画+検知通知の併用)
電源が取れず、動きの前後だけ残れば足りる(農地・資材置き場)動体検知録画
電源が取れないが、全時間帯の記録も欲しいAOV
夜間・休業時間帯だけ録画したいスケジュール録画(常時録画の時間帯制御)
工事の進捗など長期間の変化を記録したいタイムラプス録画

複数台を設置する場合は、方式を混ぜるのも有効です。たとえば出入口はAC電源+常時録画で固め、電源の取れない外周や死角はソーラー式の動体検知・AOVで補う構成なら、コストと確実性のバランスが取れます。

よくある質問

Q. 常時録画と動体検知録画はどちらがいいですか?
AC電源を確保でき、録画容量にも余裕があるなら常時録画が確実です。検知漏れがなく、トラブルの前後関係もすべて残ります。一方、電源が取れずソーラー・バッテリーで動かす場所では常時録画は現実的でないため、動体検知録画かAOVが選択肢になります。「どちらが優れているか」ではなく、設置場所の電源事情と残したい映像の性質で決まります。
Q. AOV(Always On Video)とは何ですか?
常時録画と動体検知録画の中間にあたる録画方式です。動きがない待機中は2秒に1コマ程度のコマ送りで記録を続け、人や車両を検知した瞬間に15fps程度の通常録画へ切り替わります。メーカー公称ではストレージ消費は常時録画の約30分の1。ソーラー・バッテリー式カメラの「検知したときしか映像が残らない」という弱点を補う方式として、2025年前後から海外大手メーカーが搭載機種を投入しています。
Q. ソーラー充電式の防犯カメラで24時間常時録画はできますか?
基本的にできません。常時録画はカメラを24時間フル稼働させるため消費電力が大きく、ソーラーパネルと内蔵バッテリーの発電・蓄電量では、曇天や冬季にバッテリーが尽きます。ソーラー式の現実的な選択肢は動体検知録画、または全時間帯をコマ送りで残せるAOVです。24時間フルフレームの常時録画が必須の場所なら、先にAC電源の確保を検討してください。
Q. 128GBのSDカードで何日ぐらい録画できますか?
フルHD・H.265圧縮の常時録画でおおむね1週間〜10日前後が目安です(ビットレート設定や映像の動きの量で大きく変動します)。動体検知録画なら記録するのは動きがあった時間帯だけなので、動きの頻度次第で数週間〜数か月分が残ります。H.264圧縮の機種では必要容量が約2倍になるため、日数はこの半分程度で見積もってください。
Q. 動体検知の誤検知が多いときはどうすればいいですか?
対策は4つあります。①検知感度を下げる、②検知エリアを絞る(風で揺れる木や車通りのある道路を検知範囲から外す)、③AI人物・車両検知に切り替える(対応機種なら小動物や光の変化を無視できます)、④カメラの向きを調整する(逆光や西日でセンサーが誤反応しやすい向きを避ける)。それでも収まらない場合は、通知だけをオフにして録画は残す運用も一つの手です。
Q. 人感センサーと動体検知は同じものですか?
重なる部分はありますが、同じではありません。人感センサー(PIRセンサー)は熱源の動きを検知する部品で、動体検知を実現する方式のひとつです。もうひとつ、映像の画素変化を解析して動きを捉える映像解析型の動体検知もあり、常時通電するカメラではこちらが主流です。バッテリー式カメラの多くはPIR型、AC電源式カメラの多くは映像解析型と覚えておくと選びやすくなります。
Q. 録画した映像はいつまで残りますか?
SDカードやHDDが満杯になると、古い映像から自動的に上書きされていきます(ループ録画)。つまり「録画日数の目安」を過ぎた映像は順次消えていくため、事件・事故があったときは、上書きされる前に必要な映像をダウンロードして別の場所に保存しておく必要があります。

まとめ

防犯カメラの録画方式は「いつ録画するか」で3つに分かれ、それぞれ電源・録画日数・映像の残り方が異なります。要点は次の通りです。

  • 常時録画は24時間すべてが残り検知漏れがない。ただしAC電源が前提で、録画容量の消費が最も大きい
  • 動体検知録画は省電力・省容量でソーラー・バッテリー式の標準。冒頭の欠け(プリ録画で補える)と誤検知・検知漏れが弱点
  • AOVは待機中コマ送り+検知時通常録画の中間方式。電源のない場所で全時間帯の記録を残せるが、搭載機種はまだ少ない
  • ソーラー式でのフルフレーム常時録画は電力収支的に成立しない。必須ならAC電源の確保を先に検討する
  • 録画日数は容量×圧縮方式×録画方式で決まり、古い映像から自動上書きされる。必要映像は早めに退避する
  • 迷ったら「AC電源が取れるか」「どの瞬間が必要か」の2軸で決め、複数台なら方式の併用も検討する

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